◆計算が苦手な子どもと保護者の方へ◆
ぼくが計算する時にストレスを感じたポイントを前のブログで4つ挙げました。いずれも計算が遅くなる原因です。
・ かけ算の筆算で、くりあがる数を小さな字でとなりの位に書いておくのが嫌だ
・ くり下りのあるひき算で、上の位から1借りてくるのが嫌だ
☆ 小さな数のたし算ひき算でさえ頭の中で計算している
・ 九九の答えを出すのに、頭の中でメロディー再生している
今回は☆印の項目、小さな数のたし算ひき算で計算ストレスを減らす方法をご紹介します。小さな数というのは1から20くらいまでの数を指します。ぼくの場合、とくにひき算が苦手でした。
ひき算というのは差を求める計算です(図1)。例えば13 ひく 8を求める時、計算が得意でないぼくは、まず13の3を消してしまおうと考えました。はみ出た3がうっとおしかったからです。それをすませばあとは10から8の残りの5をひく楽な計算で答えが出ます。頭の中ではまず、8ひく3を計算して5を出し、次に10ひく5で答えを5としました。ブロックを並べると図2のようなことを頭の中でやっていたのです。ただ13の3を消したい一心で、今思うと少し面倒な方法に入り込んでいたようです。自分にはこの方法が合うと思っていたわけではありません。
ひき算は二つの数の差を出せば良いのだから、まず10ひく8で2を出して、それとのこりの3をたして5を求めれば良いのです。ブロックを並べてみれば、この計算のしくみがすぐ理解できます(図3)。
13ひく8を計算するのには、どちらの方法でやるにせよ短いですが時間がかかります。でもたとえば、2たす2はと聞かれた時は瞬時に4が出ますね。頭の中で計算していないのだと思います。6たす4でも、5ひく3でも多くの子どもは瞬時に答えを出せると思います。ということは、13ひく8でも考えずに5を出せるように覚えてしまえるはずだと考えました。小さな数の組み合わせはそれほど多くありませんからね。もっと大きい数の計算を楽に正確に進めるために、小さい数での計算の遅れを減らしたいと思います。
そこでまず、ぼくがストレスを感じていた小さい数字の組み合わせを再チェックしてみました。一桁どおしのたし算で繰り上がる場合と、20までの数から一桁の数をひくときの2つのケースを両方考えてみて、苦手な数字の組み合わせを整理したのが表1です。ぼくが苦手とした数は並べてみるとたった20組でした。つまりこの20組のたし算ひき算の答えを組み合わせで覚えてしまえばよいのです。
たとえば図4のような三角カードを作って覚えます。底辺に二つの数をならべて書き、上にその二つをたした値を書きます。上の数から下の左右どちらかの数をひくと、もう片方の数になります。つまり、8と5と13をセットで覚えるのです。これを20組覚えればよいのです。もし、自分は違う組み合わせの数が苦手だと言う人は、そのカードを作りましょう。それでもそんなに沢山の数にはなりません、漢字や英単語に比べたらはるかに少ない数です。これを覚える方法はまず図1から3のようにブロックを操作したり、おはじきなど身の回りにあるもので操作をして、数の差の感覚と三角カードの数字を対応させていきます。三角カードに馴染んできたら、遊び感覚でカードを使うのも良いでしょう。遊び方は遊びの天才である子供にまかせるのが良いと思います。
市河三英