もじっこくらぶ

拓本体験教室 ③

拓本体験教室の続きです。

練習用の金魚絵の拓本、本番の「九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんめい)」の拓本が採れました。
1週間経ち、しっかりと乾燥しています。

続いて裏打ちをします。裏打ちとは、作品の裏面に紙を貼り付けてしわやたるみを防いで補強することです。
簡単にできるアイロン接着の「裏打ち専用紙」を使って裏打ちし、仕上げていきます。

裏打ちの道具は、裏打ち専用紙(アイロン接着用)、大判の習字用下敷き2枚、霧吹き、ハケ、タオル、アイロン台、アイロン、藁半紙30枚くらい。アイロンは中低温(90~120度)に温めておきます。スチームは使いません。

まず習字用下敷きの上に、拓本をとった紙を裏返しにしてのせ、霧吹きで水をかけていきます。この時しわをハケでやさしく伸ばします。

少し待って和紙にしみ込んだら、タオルで軽く押さえて余分な水分を取ります。アイロン接着の場合、ここで水分が多すぎるとアイロンの熱ではなかなか乾かず、作品が波打ってしまうことがあります。水分はできるだけ少ない方がきれいに仕上がります。

アイロン台の上に、下敷きと藁半紙30枚をのせ、先ほど濡らしてしわを伸ばした拓本をそっとのせます。(裏返しのまま)作品用紙が少し乾いて手で持てるようになってから運ぶようにします。
もっと大きな作品で広げたままアイロン台まで移動するのが難しい場合、別の紙一枚をあて紙にして拓本作品と一緒に折りたたみ運ぶと、破れる心配がなく移動させられます。

裏打ち用紙の糊のついている側が拓本につくように裏打ち用紙をのせます。キラキラ光っているように見えるのが糊のついた側です。裏打ち用紙の表裏を間違えないことが大切です。

アイロンをかけます。まん中から外へ向かってゆっくり滑らせるようにかけます。あまり強く押さえてかけるとしわになります。また1か所だけ長くかけるとアイロンのあとが残るので、全体に動かしながらかけていきます。

拓本作品の下に敷いた藁半紙が水分を吸い取っていきます。時々乾いている藁半紙と入れ替えます。
藁半紙は新聞紙でも代用できますが、その場合新聞の文字が作品にうつらないよう注意します。

作品が十分乾燥するまでアイロンをかけます。拓本紙側が乾き裏打ち用紙と密着したら、温度が下がるのを待ってアイロン台からおろします。重しをして反りを防ぎながら冷まします。(重しをしないと写真のように反ってきます。)

まっすぐ乾いたら拓本の裏打ちが完成です。
紙の端の汚れてしまったところや周りの余分なところを切り落とします。それぞれ大きな画用紙やカラー紙に貼り付けたりして仕上げます。
拓本を採った日付けを書いたり、自分の判を押して拓本作品の出来上がりです。

教室でやっている拓本体験をご紹介しました。

市河浩子

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