拓本体験教室の続きです。
練習で拓本をとる手順がわかりました。
いよいよ本番の「九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんめい)」の拓本に挑戦です。本物の石碑の割れや欠けたところまで再現されたレプリカを使います。B4サイズです。
版木のサイズが大きくなっただけで、やり方は練習の金魚絵の時と同じです。
紙を水ではりつけ凸凹をうつしとっていきます。
使う道具は、練習時と同じです。和紙、霧吹き、タオル、拓本用の馬毛ブラシ、はけ、タンポ、拓本用油墨です。
版木より少し大きくなるように和紙を切り、版木の上にのせます。
霧吹きで紙の中心から放射線状に水を吹きかけていきます。はけでそっとなでて紙のしわを伸ばします。
タオルで押さえながら紙を板木にくっつけていきます。真ん中から放射線状に空気を押し出しながら、紙全体を貼りつけます。紙をこするとよれてポロポロとはがれるので、やさしく押さえるようにします。
馬毛のブラシを打ち付けていきます。この時、ブラシの毛を版に対して垂直に当てて、叩いていくのでしたね。軽く叩いただけで紙が凹んで文字の中に入っていきます。
みなさん2度目となると力加減にも慣れてきたようすで、トントンとリズミカルに叩いていました。
大きな拓本をとっている時、途中で和紙が乾いてきたらまた霧吹きをして湿らせてから叩きます。乾いた紙のまま叩くと紙が伸びず破れてしまうからです。
彫られた文字にしっかり和紙が入って文字の形が見えてきました。
タンポを使って墨を打っていきます。
片方のタンポに墨をつけ、もう片方のタンポをそれにこすりつけて墨を移し、和紙にポンポンとのせていきます。
字が浮かび上がってくると
「すごーい!」
という声が。ここが一番楽しい作業のようです。
スリッポンポンポン、スリッポンポンポン
リズミカルに墨を打つ音が。みなさん慣れてきてどんどんテンポ良く打っていました。
最初は全体に薄く打ち、そのあとだんだん重ねて濃くしていきます。
静かな教室に墨を打つ音だけが響く、無心になれる時間です。
約1400年前に書かれた欧陽詢(おうようじゅん)の文字の形がくっきりと浮かび上がってきます。
全体が好みの濃さになったら、そのまま乾かしておきます。
しっかり乾いたら和紙が浮き上がってきます。
そっと持ち上げて版木からはずします。
紙をはずしても版が墨で汚れたりせずきれいなままです。
九成宮醴泉銘の拓本が採れました。
教室では1週間後に裏打ちをして作品として完成させます。
拓本体験教室③裏打ちして完成 へ続きます。
市河浩子