ひなた体験学舎では、自分の手を動かすことに重きを置いています。それは手作業が脳の発達に良い影響を与えることが知られているからです。小さなお子様にはまず自分の思い通りに手指を動かすことができるようにするために、面白くて単純な作業をいつまでも繰り返すのが良いと考えています。「ダビンチくらぶ」の午前の部では、紙をちぎる、木や枝を積む、折り紙を折る、はさみを使って紙を切る、粘土をこねる、絵の具をまぜて自分の色を作るなど、手を細かく動かしたり形のないものから形のある物を生み出す作業を準備しています。お子さまの特性に合わせたものをひたすら一緒にやっていこうと考えています。手を使って学ぶ、はじめの一歩と考えています。
算数の入口としての「かずのこくらぶ」においても、手を動かしてブロックやチップをいじりながら数の理解を進めていきます。たとえば、6はぴったり二つや三つに分けることができますが、5はどうやってもぴったりには分けられません。これをはじめから「5は素数だからね」などと教えない方がいいと思います。6は5のひとつ隣の数なんだけれども、性質には違いがあることを手の感覚で掴んでほしいと思います。自分で発見するのを待つ方が、のちの確かな認識につながると考えています。
「もじっこくらぶ」は読みやすい字がかけるように練習するところです。もちろん手を使います。お箸でご飯を食べるのを日本人はあまり苦にしませんが、お箸を使わない国の人にお箸を使っていただくと大変に苦労されます。日本人は小さい頃からお箸の使い方を仕込まれます。字を書くのもお箸と同じように手先の細かい動きを必要としますから、お箸の使いかたを体得するように、筆や鉛筆を使うコツをお伝えしたいと考えています。もちろん左利きのお子様にも対応いたします。
手は信じられないほど微細な動きができます。考えることにも直結しているようです。ひなた体験学舎では、手を使うことを学びの手段と考えています。手を使って何度も失敗し、やっとできるようになった時の喜び、手を使って 考えが閃いた時の悦び、手を使って新しいものが作れた時の歓び、みんな確かな自信となって身につくものだと思います。ゆっくり一緒に練習しましょう。
市河三英